海上自衛隊 護衛艦「しらゆき」見学記録(2009年)


 2009年7月20日(月曜日)


 小名浜港に海上自衛隊の護衛艦「しらゆき」が入港し、7月18日から7月20日まで一般公開されました。
 この日は、「海の日」に相応しい好天に恵まれました。
 イベントの様子を紹介する前に、護衛艦「しらゆき」について、簡単に説明します。


 護衛艦「しらゆき」について

 「しらゆき」は、1983年に就航した「はつゆき」型護衛艦の2番艦です。
 海上自衛隊の汎用護衛艦として開発され、開発当時としては、優れた対艦・対潜・対空攻撃能力を備えていました。
 同型艦は護衛艦のなかで最も多い12隻が建造されており、現在も主戦力として位置しています。
 外見や構造は、その後の「あさぎり型」とも大差がないので、海上自衛隊の一般的な護衛艦のデザインと言えます。 

「小名浜港に停泊するしらゆきです。」
「はつゆき」型 DD"HATSUYUKI"Class 123「しらゆき」 艦船データ
基準排水量
2,950t
馬 力
45,000PS
主機械
ガスタービン4基2軸
定 員
約200名
速 力
30kt
主要寸法
130 x 13.6 x 8.5 x 4.1m(長さ、幅、深さ、喫水)
主要兵装
62口径76ミリ速射砲x1
SSM装置一式・短SAM装置一式
アスロック装置一式、3連装短魚雷発射管x2
哨戒ヘリコプターx1、高性能20ミリ機関砲x2
同型艦
122「はつゆき」、123「しらゆき」、124「みねゆき」、125「さわゆき」、126「はまゆき」、127「いそゆき」、128「はるゆき」、129「やまゆき」、130「まつゆき」、131「せとゆき」、132「あさゆき」、133「しまゆき」
 データは、海上自衛隊ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)から転載しています。

 埠頭に停泊中の「しらゆき」です。
 最終日の早い時間に見学に行ったので、乗船待ちはありませんでした。
 後部デッキは特徴的で3段になっています。
 主力兵器の対艦ミサイル「ハープーン」です。
 片舷に4発を搭載できますが、2発のみ搭載されています。
 「装てん中」と表示されていたので、チューブ内には実弾が装填されています。
 ハープーンの射程距離は約100km、新型は200kmを越えるとも言われています。
 ハープーンの下には、対潜水艦用の3連装短魚雷発射管が装備されています。
 3連装短魚雷発射管です。
 機械的な設計とリベット接合が古めかしさを感じさせます。
 魚雷発射管の内部です。
 圧縮空気で魚雷を射出しますが、簡素な構造です。
 62口径76ミリ速射砲とアスロックです。
 見学コースの制限で、前方から両方を入れた撮影はこれが限界です。
 76mm砲速射砲の模擬弾です。
 対艦・対空・対地用など多目的に使用できます。
 口径は第二次大戦時の駆逐艦の半分程度ですが、発射速度は100発/分と驚異的です。
 アスロックです。
 対潜用魚雷をロケットブースターで遠方に射出する兵器です。
 艦橋右側から見た76mm速射砲とアスロックです。
 「高性能20mm機関砲」(CWIS)です。
 左右に1器ずつ装備されています。
 後方から見た「CIWS」です。
 捜索・追跡レーダーと火器管制システムが一体となっており、ミサイルの迎撃等に使用されます。
 発射速度は1分間に3,000発です。
 機関室の様子です。
 撮影したパネルは一部分だけで、数多くの計器類が設置されています。
 艦橋に設置されていたメーターです。
 艦艇の速度を表示します。
 ここで護衛艦を操作します。
 海自の操艦技術は高く、海外派兵時には米海軍を凌ぐことが証明されています。
 排水量3,000トンの艦船を操艦するには、機械的デザインで単純な操舵輪です。
 艦橋の窓から船首を見た様子です。
 街並みを見渡せる良好な展望です。
 艦橋後方のレーダーやセンサー類です。
 各種レーダー類は、戦術情報処理装置を介して各種兵器と連動しており、効果的に使用できるようになっています。
 艦尾に装備されている艦対空ミサイル「シースパロー発射機」です。
 ランチャーは8連装で、次弾給弾も可能です。
 パネルには「短SAMランチャー」と説明されていますが、陸自の81式短距離地対空誘導弾(短SAM)とは別物です。
 ランチャーには、模擬弾が装着されていました。
 内部は簡素な構造です。
 医務室の様子です。
 痛々しい治療を受けて椅子に座っているのは人形です。
 立入検査用の装備です。
 説明によると、装備品は防弾チョッキ兼救命胴衣、骨伝導無線機、特殊警棒、手錠、ライト、9mm機関拳銃、99mm拳銃ということです。
 9mm拳銃のレッグホルスターです。
 サバイバルゲームで使用するものと同じく見えます。
 中身はダミーのハンドガンです。
 後部の飛行甲板は、制服の試着コーナーや休憩所として開放されていました。
 格納庫では、お土産の売店が開設されていました。
 デッキ上に展示された銃器類です。
 62式機関銃、64式小銃、9mm機関拳銃、9mm拳銃の4丁です。
 臨検時などのために装備されているものです。
 海上自衛隊仕様の9mm拳銃です。
 スイス製の「SIG SAUER P220」をライセンス生産したものです。
 残念ですが、手に取ることは禁止されていました。
 9mm機関拳銃です。
 これも海上自衛隊仕様です。
 展示台の内側は立入禁止だったので、上方からアングルの撮影しかできませんでした。
 埠頭には展示品や売店などもありました。
 カンパンの試食させて頂きましたが、市販のカンパンよりも大きく、少ししっとりとして甘い感じがしました。
 せっかくなので、海軍カレーとコーヒーを購入しました。
 コーヒー豆の生産国は、ニューギニア、インドネシア他と表示されており、東南アジア諸国との交易の歴史を感じさせます。

 予定では、掃海艦「はちじょう」も入港して、2隻が公開されることになっていましたが、残念ながら寄港は中止となりました。
 寄港中には、体験公開が2日間行われました。
 会場で配布されてパンフレットによれば、「しらゆき」の総行程は地球約15周分、総航海時間は3万4千時間、艦齢は26年になりますが、整備や清掃が行き届いていて、老朽化を感じさせませんでした。
 姉妹艦は、練習艦に転用されたり、除籍が予定されていますが、現在でも十分な能力を備えているので、当分の間は一線での姿を見ることができると思います。