海上自衛隊 掃海艇「のとじま」見学記録


 2012年7月15日(日曜日)


 小名浜港に海上自衛隊の掃海艇「のとじま」が入港し、一般公開されました。
 昨年は東日本大震災の発生によって、小名浜港は大きな被害を受け、艦艇広報は行われませんでした。
 小名浜港での艦艇広報は、2年ぶりの開催となりました。

 今回公開された掃海艇「のとじま」は、すがしま型掃海艇の2番艦として建造され、平成11年3月に就役し、横須賀地方隊第41掃海隊に所属しています。

 掃海艇は、海中に敷設された機雷の除去を目的としています。
 機雷は、海中の敷設方法によって、海底にワイヤーで固定して海中の一定深度に浮遊させた「係維機雷」や、海底に沈めて置く「沈底機雷」などがあります。
 機雷の起爆は、船体との直接接触の他に、船舶の航行による磁場の変化や、エンジンなどから発生する音響などに反応して爆発します。
 掃海艇が行う機雷の処理方法は、これらの敷設方法や起爆方式によって異なります。
 沈底機雷は、爆薬を設置して爆発させ、係維機雷は、機雷を固定している係維ワイヤーを切断して、海上に浮揚した機雷を機関砲で射撃して爆破します。
 磁気機雷や音響機雷は、掃海具から艦船の通過を欺瞞した磁場や音響を発生させて爆発させます。

 機雷は、船体から発する磁気や音響などに反応して爆発するため、のとじまは磁気を帯びない木製船体が採用されており、静粛性に優れた電気推進器を搭載するなどの防備が施されています。
 また、のとじま(すがしま型掃海艇)は、平成3年に実施されたペルシャ湾派遣での掃海活動の教訓を取り入れて新造されたもので、新たに導入された掃海装置を装備し、機雷探知機、機雷処分具、自動操艦装置を一元管理することができます。

 のとじまの公開は、甲板の一部に制限されていたので、写真は少なく、陸上自衛隊と航空自衛隊の装備品展示の写真が多くなってしまいました。



掃海艇「すがしま」型 MSO"SUGASHIMA"Class 682「のとじま」
 基準排水量
 510t
 馬 力
 1,800PS
 主機械
 ディーゼル2基2軸
 乗 員
 約45名
 速 力
 14kt
 主要寸法
 54m x 9.4m x 4.2m x 3m (長さ、幅、深さ、喫水)
 主要兵装
 20ミリ機関砲x1
 掃海装置一式
同型艦
681 「すがしま」、683 「つのしま」、684 「なおしま」
685 「とよしま」、686 「うくしま」、687 「いずしま」
688 「あいしま」、689 「あおしま」、690 「みやじま」
691 「ししじま」、692 「くろしま」
 写真とデータは、海上自衛隊ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)から転載しました。

 中央の建物は、環境水族館「アクアマリンふくしま」です。
 「のとじま」はアクアマリンふくしまの左側に停泊しています。
 右側からの写真です。
 汎用護衛艦と比較して、全長は半分以下、排水量は1/5以下と小型です。
 右後方からの写真です。
 後部甲板には、掃海装置が搭載されています。
 2号埠頭です。
 写真中央が「のとじま」です。
 埠頭は震災の被害から完全に修復されていませんでした。
 右下の看板を入れて、「のとじま」をバックに記念写真が撮影できます。  磁気機雷の反応を防ぐため、木造船体を採用しています。
 船体に横縞模様が見られるのは、木材を貼り合わせた跡です。
 前部甲板に設置された20mm機関砲です。  艦橋付近です。
 上部構造物は2階建てです。
 艦橋です。
 艦内は公開されませんでした。
 船体中央付近です。
 航行用のディーゼル機関の他に電気推進器を搭載しており、掃海作業時には騒音を低減して、音響機雷の爆発を防ぎます。  後甲板の機雷処分具です。
 黄色の潜水型をした物は、機雷処分具航走体で、艦内からの遠隔操作で海中の掃海作業を行います。
 船体後部の掃海装置です。  甲板を上から撮影しました。
 船体にはアメリカ松が使用されており、厚く塗料が塗られています。
 20mm機関砲(JM-61M)です。  小型艦艇用に設計されたもので、人力操作としています。
 発射速度は、450±50発/分に抑えられています。
 海上に浮上させた機雷の処分などに使用されます。
 蜘蛛の巣のような単純な構造の照準器は、M42対空戦車でも使用されていますが、以外にも命中精度の高い射撃ができるようです。  銃身を回転させている状態です。
 シャッター速度を遅くして撮影してみました。
 20mm機関砲の後方に設置された火薬類砲側格納所です。  小学生にもわかる係維掃海教室?
 掃海作業の方法について、分かり易く説明していました。
  
 水中処分員が使用するゴムボートとクレーンです。  艦上は非常に狭かったのですが、装備品も展示されていました。
 後部甲板左側です。
 クレーンは、掃海装置を海中に降ろすために使用されます。
 後部甲板中央です。
 掃海装置の曳航に使用するワイヤーリールです。
 後部甲板右側です。
 白色の装備は掃海用フロートで、掃海装置を曳航するために使用します。
 体験公開の様子です。
 陸上・航空自衛隊の装備品展示です。
 「のとじま」の公開は7月14日、7月15日の2日間行われましたが、陸上自衛隊の装備品展示は7月15日のみ行われました。
 82式指揮通信車です。
 郡山駐屯地の第6特科連隊の装備です。
 会場には大勢の人が集まりました。  一定の防弾性能を備えているので、重量は約13.6t もあります。
 排気量14,022ccの水冷10気筒ディーゼルエンジンで、速度100km/hの走行を可能としています。
 運転席にも入ることができました。
 車内の写真撮影は自粛しました。
 車体左側のハッチです。
 車体右側のハッチです。
 エンジンが左前方に配置されているので、左右のハッチの位置は異なり、左側が前輪と中輪の間、右側が中輪と後輪の間にあります。
 車内後部座席です。
 一部の座席が折り畳まれています。
 乗車人員は、運転手・運転助手を含めて8名です。
 155mmりゅう弾砲(FH-70)です。
 郡山駐屯地の第6特科連隊の装備です。
 この会場では最も大掛かりな装備だったので、多くの人が集まっていました。
 砲尾の状態です。 
 半自動式装填装置を備えているので、発射速度に優れます。
 砲身内を撮影してみました。
 ライフリングのピッチが急なように見えました。
 砲手席です。
 席の右側にあるレバーを引くと砲弾が発射されます。
 ハンドルは軽く、砲身の角度は軽々を変わります。
 操縦席です。
 補助動力装置が付いているので、人力に頼らずに短距離の移動ができます。
 タイヤは、重機などにも使用されている一般的なものが装着されています。
 「中砲けん引車」です。
 155mmりゅう弾砲を牽引してきた車両ですが、会場の片隅に置かれていました。
 「1/2tトラック」です。
 福島地方協力本部の車両です。
 ボンネットに偽装ネットが施されて演出されています。
 「軽装甲機動車」です。  航空自衛隊大滝根山分屯基地の第27警戒群の車両です。
 大滝根山分屯基地の展示コーナーです。
 東日本大震災の災害派遣活動の写真などが紹介されていました。
 小学生以下対象の74式戦車と90式戦車の操縦体験コーナーです。