海上自衛隊 護衛艦「しらね」一般公開見学記録


 2014年8月4日(月曜日)


 8月2日から8月4日までの3日間、富山県高岡市の伏木港で海上自衛隊の護衛艦「しらね」が一般公開されました。
 8月2日、8月3日は、伏木港まつりが開催され、海上保安部巡視船一般公開や花火大会などの様々なイベントが行われました。

 今回のイベント開催場所は、自宅から片道約450kmもの距離がありました。
 航空祭であれば、この程度の距離に難色を示すことは無いのですが、体験航海の応募に外れて一般公開を見るだけでは、ガソリン代と高速道路通行料金などの出費や、長時間の運転の労力に見合うだけの魅力が感じられませんでした。
 それでも、「しらね」は来年3月に護衛艦「いづも」の就役をもって、除籍されることが予定されており、しらね型護衛艦が見られる機会は、これが最後になるかもしれないので、今回は富山県と近県の観光旅行を主要な目的として、その序でに足を運ぶことにしました。

 護衛艦「しらね」は、昭和55年3月(1980年)に就役しており、就役当時、海上自衛隊最大の護衛艦でした。
 しらね型護衛艦は、対潜水艦戦闘能力が強化されていることが特徴で、ヘリコプター3機を運用できる能力を備えており、哨戒ヘリコプターを運用して、広範囲に潜水艦を捜索し、先制して攻撃することができます。
 また、昭和56年度から平成15年度の観艦式では、内閣総理大臣が乗艦する観閲艦を務め、海上自衛隊の主役的な役割を果たしました。

 「しらね」のデータは次のとおりです。
 他のHPや書籍などで詳しく説明されているので、ここでは省略させて頂きます。

護衛艦「しらね」型(DDH"SHIRANE"Class)
基準排水量
5,200t
馬 力
70,000PS
主機械
蒸気タービン2基2軸
乗 員
約350名
速 力
32kt
主要寸法
159 x 17.5 x 11 x 5.3m
(長さ、幅、深さ、喫水)
主要兵装
54口径5インチ単装速射砲 x2
アスロック x1、3連装短魚雷発射管 x2
短SAMランチャー x1、哨戒ヘリコプター x3
高性能20ミリ機関砲 x2
同型艦
143「しらね」、144「くらま」


 富山県では、7月と8月の2回、海上自衛隊の艦艇が一般公開されました。
 ポスターの画像は自衛隊富山地方協力本部(http://www.mod.go.jp/pco/toyama/)、しらねのデータは海上自衛隊の公式ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)及びパンフレットから転載しました。

 護衛艦「しらね」です。
 全体写真が撮影できなかったので、海上自衛隊の公式ホームページから写真を転載して紹介しました。
 
 写真左側は、体験航海落選通知の葉書です。
 体験航海に応募したのですが落選してしまいました。
 写真右側は、乗船時に頂いた護衛艦「しらね」のパンフレットです。
 伏木港に停泊する「しらね」です。
 埠頭から離れた場所から撮影した様子です。
 今にも雨が降りそうな天気でした。
 港湾設備などがあり、全体を写真に収めることはできませんでした。  5インチ砲(127mm砲)を2門装備しています。
 第2次世界大戦中のアメリカ海軍駆逐艦のようなイメージを受けます。
 主砲を2門装備する護衛艦は、現在はしらね型護衛艦とはたかぜ型護衛艦の合計4隻を残すのみです。
 第1砲塔です。
 しらね型護衛艦は、対潜水艦戦闘能力を強化したヘリコプター搭載護衛艦なので、対艦ミサイルは装備していません。
 第2砲塔です。
 アスロック発射装置です。
 対潜水艦魚雷をロケットにより、遠方に射出します。
 記念撮影用のパネルです。
 自衛隊富山地方協力本部のキャラクター、ホタルイカのイッカー3兄弟が歓迎しています。
 艦橋の様子です。
 35年以上も前の設計なので、ステルス性は考慮されていません。
 真横から見た様子です。
 ヘリコプター3機を収容するため、格納庫が大きな容積を占めています。
 マスト中央付近にある四角型の装備は、対空レーダーです。  12.7mm重機関銃の銃架です。
 3連装短魚雷発射管です。
 近距離の潜水艦攻撃に使用されます。
 内火艇です。
 中央の円筒形の装備は、チャフロケットランチャーです。
 対艦ミサイルの攻撃から防護する装備で、誘導電波を攪乱する微小物質を広範囲に散布します。
 高性能20mm機関砲です。
 新造艦に装備されているCIWSとは外見が異なります。
 ヘリコプター格納庫の様子です。  ヘリコプター格納庫上部に装備された短SAM発射装置です。
 艦対空ミサイルで、航空機に対する攻撃や対艦ミサイルの迎撃に使用されます。
 後方から見た様子です。
 汎用護衛艦と比較して、ヘリコプター甲板が広く確保されています。
 ヘリコプター甲板には、哨戒ヘリコプター「SH-60K」が展示されています。
 艦尾の様子です。  黄色の装置は曳航式ソナーです。
 海中を沈めて曳航し、潜水艦を探知します。
 艦内の一般公開が開始されました。
 一般公開3日目で平日のためなのか、混雑は少ないように感じました。
 後方から見たアスロック発射装置の様子です。
 見学順路は、艦橋右側付近から乗艦して船首に向かい、甲板左側を通ってヘリコプター格納庫内を経由して、最後にヘリコプター甲板になります。
 残念ながら、艦橋内などは公開されませんでした。
 前方から見たアスロック発射装置です。
 他の写真を見ても感じられると思いますが、甲板上から見える部分には、錆などの劣化はほとんど見られません。
 外見のみから見れば、あと10年以上は使用できそうに見えます。
 後方から見た第2砲塔です。
 前方から見た第2砲塔です。
 混雑を避けて撮影したので、狭い写真になってしまいました。
 第1砲塔側面に記された記念塗装です。
 文字通り2014年は「しらね」が活動する最後の年となります。
 英文の真意は分かりませんが、直訳すれば「我々は神を信じる。他の者全てを我々は追跡する。」になります。
 この場合の神とは、「しらね」の性能やクルーの技術のことを意味し、下段は「全てを敵を探知する。」という意味になるのかもしれません。
 第1砲塔です。  砲塔の前には薬莢を受けるバスケットが取り付けられています。
 現在の護衛艦の主砲は、砲塔内は無人で遠隔操作されますが、しらねの主砲は、3~4名が砲塔内で操作します。
 5インチ砲の教練弾です。
 赤色は弾頭、黒色は装薬で、弾頭部分が砲塔から射出されます。
 船首部分の様子です。
 後方から見た1番砲塔です。  第1砲塔後部に表示された文字です。
 「注意 100m後ろに留まれ、撃たれるぞ」といった意味です。
 後方から見たアスロック発射装置と第2砲塔です。  船体右側を通ってヘリコプター甲板に向かいます。
 3連装短魚雷発射管です。  ヘリコプター格納庫内の様子です。
 ヘリコプター格納庫です。  ヘリコプター格納庫上には短SAM発射装置が装備されています。
 ヘリコプター甲板右側には、発着艦指揮所があります。  哨戒ヘリコプター「SH-60K」です。
 対潜水艦戦闘、対水上戦闘、警戒・監視、救難活動、輸送、通信中継など多目的な用途に対応できます。
 しらねの公開範囲が限定されており、写真の撮影枚数が少なくなったので、SH-60Kについて多めに撮影しました。
 球状の装置は、赤外線前方監視装置(FLIR)です。  コクピットの様子です。
 メインローター基部の様子です。  左後方から見た様子です。
 パイロンには、ヘルファイアII空対艦ミサイルや97式魚雷、対潜爆弾を選択して装備することができます。
 機体後部左側には、チャフ・フレア発射装置が2基装備されています。
 右側の円筒型の装置は、フライトレコーダーのようです。
 右側の円筒形の機器はデータリンク装置です。
 羽根型の機器はアンテナですが、用途は分かりません。
 機体後部は折り畳むことができます。  テイルローターの下にはミサイル警報装置が装備されています。
 この装置はミサイルを探知するセンサーで、機体の周囲4ヶ所に装備されており、全周を探知できます。
 
 右後方から見た様子です。
 メインローターは折り畳まれて固定されています。
 左側は、ディッピングソナーで海中に吊り下げて潜水艦を捜索します。
 右側は、機内左側中央に設置された操作機器です。
 コクピットの様子です。  レスキューホイストです。
 AN/ASQ-81D(V)-6 磁気探知機です。
 潜水艦が発する磁気を探知する装置です。
 機体後部右側には、チャフ・フレア発射装置が1基装備されています。
 「しらね」の艦上展示の様子は以上です。
 第10音楽隊の人員輸送車です。
 第10音楽隊は、愛知県名古屋市の守山駐屯地に駐屯しているので、片道約240kmの遠路を来たことになります。
 3・1/2tトラックです。
 富山駐屯地に駐屯する第382施設中隊の車両です。
 富山県には駐屯地が一ヶ所ありますが、そこに唯一駐屯する主要部隊となります。
 1・1/2t救急車です。
 同じく第382施設中隊の車両です。
 第10音楽隊による音楽演奏会も行われ、会場を盛り上げました。
 以上で護衛艦しらね一般公開のレポートを終了します。