ミルスペックなアイテム


 ミルスペックとは、「Military Specification」を意味し、アメリカ国防総省が制定した物資調達規格のことです。
 アメリカ軍が調達する軍用品は、この規格を満たしており、灼熱の砂漠や極寒地、熱帯雨林などの様々な極限環境にも耐えられるよう想定され、堅牢で高性能に設計されています。
 日本では、一般的に軍事規格と解釈されており、レプリカ商品などにもミルスペックを謳っている商品があります。
 市販されている民生品の中には、ミルスペックを批准していないものの、堅牢で高性能に設計された製品が少なくありません。
 ここでは、軍用目的では無いものの軍用品としても使用できそうなアイテムを紹介します。

デジタルカメラ(PENTAX Optio WG-1)

製造メーカー PENTAX 商品名 Optio WG-1
有効画素数 約1400万画素 記録画素数 静止画 14M~640、動画 1280~ 320
レンズ 光学ズーム 5倍
デジタルズーム 約6.7倍(最大約33.5倍)
感度 ISO 80~6400
画像モニター 2.7型ワイド シャッタースピード 1/1500~1/4秒、最長4秒(夜景モード)
記録媒体 内蔵メモリー(約97.0 MB)
SD/SDHC/SDXCメモリーカード
電源 専用リチウムイオンバッテリー
電池寿命 撮影可能枚数 約260枚
動画撮影時間 約120分
その他の機能 電子式手ぶれ補正、顔検出、ペット検出、デジタル顕微鏡”モード、“自分撮りアシスト”機能、ボイスメモなど
外形・寸法 約115.5(幅)×約58.5(高)×約28.5(厚)mm 質量 約163g (電池、SDメモリーカード含む)
発売日 2011年3月11日 価格 24,800円(メーカー直販価格)
※ 取扱説明書とメーカーホームページから抜粋しました。
 このカメラは、コンパクトな形状でありながら「防水性能」、「防塵性能」、「耐衝撃性能」、「耐寒性能」に優れた耐久性能を備えており、アウトドアでの使用を前面に打ち出しています。
 メーカーの説明では、水深10mで連続2時間に耐える防水性能、1.5mの耐落下衝撃性能、IP6X(JIS保護等級6)相当の防塵性能、マイナス10℃の低温環境下でも動作可能な耐寒構造、100kgfまでの重さに耐える耐荷重構造とされています。

 画質は、同価格帯の他社製品と比較すると劣るとも言われていますが、最低限で十分な画質だと思います。
 バッテリーの持ちが短いので、予備バッテリーを携行すれば安心して必要できます。
 日常的な使用では、使用前に充電していれば、予備バッテリーに交換することは、ほとんど無いと思います。
 
 カタログ上では、水中撮影も可能ですが、クチコミ情報によれば故障した例もあるので、不安があります。
 以前、豪雨の中で使用したことがありますが、一定の防水性能を備えていたので、故障はしませんでした。
 現実的には、荒天時の撮影ではレンズが雨で濡れるので、傘をさすなどして使用する必要があります。
 電子機器である以上、性能を過信せずに、丁寧に取り扱う必要があると思います。

 表面の大部分は、厚みのあるプラスチックが使用されており、重厚な印象が感じられます。
 補足的な機能ですが、撮影距離1cm以下での接写もできます。
 GPS機能が付いたモデルもありますが、5,000円程高く、GPS機能使用時にはバッテリー消耗が早いようです。

 コンパクトデジタルカメラとして、基本性能のみを見れば、価格が高く感じます。
 後継機種の「WG-2」も発売されましたが、メーカーオンラインショップで、34,800円(オンラインショップでは27,000円くらい)と割高感があります。
 「WG-2」を店頭で手にしてみましたが、外見から見られる「WG-1」の問題点は改善されているように見えました。
 撮影環境に制限が少ないことや、落下などでの破損のリスクが少ないことを考慮すれば、防水・対衝撃性能は備えていた方が良いと思います。

 メインユースとしても十分な機能を備えていますが、私はデジタル一眼レフカメラの予備として、突然の降雨や狭い場所での撮影や、手軽に使用したい場合などに重宝しています。
 画質や操作性などを優先するのであれば、このカメラは購入の選択肢から除外されると思います。

 詳細な情報は、PENTAX製品紹介のページを参考にして下さい。
    http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/wg-1/index.html
 防水・対衝撃性を追求したモデルの割にはコンパクトで、ポケットに入る大きさです。
 個性的なデザインは、好みが別れるところです。
 防水パッキンを使用しているためなのか、各ボタンはやや重めです。
 液晶画面は十分な大きさです。
 対衝撃性を備えていることは言え、プラスチック製なのでで傷が付くことを防止するために、液晶画面保護シールを貼り付けることを勧めます。
 厚さは薄めです。
 レンズの周囲にはLEDライト5灯が付いています。
 接写に役立ちますが、光沢がある被写体だとライトが反射してムラが発生します。
 電源スイッチは小さく、誤作動することは無いと思いますが、手袋をしての操作し難いです。
 片手での操作は、シャッターボタンが押し難い感じがします。
 電子光学機器ですが、以外にも製造国はベトナム製です。
 このカメラの最大の不満です。
 裏蓋は僅かにガタつきがあります。
 裏蓋のヒンジ部分も軟弱に感じます。
 目立つ隙間が生じますが、メーカーでは許容範囲と説明しているようです。
 クチコミ情報では、水中使用で故障した例も見られます。
 カメラの防水性能を維持するためには、年に1度は防水パッキンの交換が推奨されています。
 5.56mmシングルマガジンポーチに丁度良い感じで収納できます。
 このマガジンポーチは、「5.11」の「Stacked Single Magazine pouch」ですが、マガジンの周りをゴム帯が締めて固定して、フラップも付いているので、紛失する危険性がありません。

フラッシュライト(UltraFire WF-2800L)

製造メーカー UltraFire(中国製) 商品名 WF-2800L
最大光束 2,800Lumen LED寿命 100,000時間
電源 18650型リチウムイオン充電池2本または3本 外形・寸法 ヘッド部直径56mm
電池2本使用時 長さ210mm
電池3本使用時 長さ285mm
重量 350グラム(電池なしの状態) 価格 3,700円(Yahoo!オークション落札価格)
※ ネット上に表示された説明文から抜粋しました。
 高輝度LEDチップを6灯を搭載したフラッシュライトです。
 カタログ上の性能を見る限りでは、非常に明るく、安価です。
 高電圧のリチウム充電池を使用しているので、維持費も安く済みます。

 このライトの他の性能は、ネット上には
   照射距離 500m
   点灯時間 2時間
   A6061-T6アルミニウム合金製、アルマイト加工処理、CNC工作機械による製造
   防水性能 IPX-6
と説明されています。
 ネット上の評価からは、実際には2,800ルーメンの明るさは満たしておらず、品質も決して高いとは言えません。

 照射モードは、「Hiモード」、「Miモード」、「Loモード」、「ストロボモード」、「ストロボモード(S.O.S)」を備えていて、テールスイッチボタンを半押しすれば、モードを変更できます。
 ボタンの操作感は良好で、ボタンが本体部分から張り出していないので、誤操作への配慮がされています。

 光源は、アメリカのCree社のLED Q5を6灯搭載しています。,
 このLEDは、現在は旧型となっていますが、十分な明るさを発揮しており、現在もこのLEDを搭載したライトが販売され続けられています。
 LEDの年々確実に進化しており、さらに高性能のLEDを使用したライトも販売されています。
 明るさは、カタログ上の2,800ルーメンには及ばないと見られますが、それでも非常に明るく感じます。
 連続照射をすると、ヘッド部分が非常に熱く発熱します。
 連続照射時間はテストしていませんが、概ね1時間弱程度と思われます

 電源には「18650リチウム充電池」を2本または3本を使用します。
 電池を2本使用時と3本使用時の明るさは、体感的には、あまり変わらないように見えます。
 電池の性能にも依ると思いますが、点灯中に突然ライトが消えることがあります。
 原因は、電池が消耗の場合と、電圧が高くなるために電池の保護回路が作動すると思われます。
 使用する電池を3本から2本に減らしたり、「Miモード」以下にすれば、回避できることもあります。
 保護回路無しの電池を使用すれば、防ぐことができると思いますが、リスクを考えると勧められません。
 18650充電池は、充電や保管などの取り扱いが難しく、取り扱いを間違えば、最悪の場合、発火することもあるため、取り扱いには注意を払う必要があります。
 また、連続点灯時間が短いので、災害時に備えた非常灯としても向きません。
 18650充電池は、品質に個体差がある上に、表示された電圧や容量よりも少なく、充電回数も短いようです。

 中国製のフラッシュライトや18650充電池は、明るさや電圧、容量などが誇大に表示されているようです。
 外見は同じく見えても、コピー製品と見られるライトも出回っています。
 ネット上では、高性能を謳ったライトや充電池が、高価に販売されているのが見られますが、表示された性能よりも実際の性能や品質が劣ることを承知する必要があります。
 本体に原因があるのか、電池によるものなのか、確認ができていませんが、接触不良で点灯しなかったり、突然消灯することがあります。
 この点を受け入れることができるなら、アルカリ電池を使用する一般的なライトよりも、格段に明るいライトを安価に購入することもできます。

 軍事用としては、SUREFIREが優れていますが、日常的な用途としては非常に高価な上、電源に使用するCR123Aリチウム電池も高すぎます。
 このライトは、1860充電池の取り扱いが難しく、万人に勧めることは出来ませんが、価格が安く、非常に明るいので、使用目的に合っていれば、有効なライトだと思います。
 4個にパーツに分解できます。
 全てのパーツを使用すれば、充電池3本で使用でき、左下のパーツを外せば充電池2本で使用できるので、必要に応じて選択できます。
 個人的には、携帯性が良好な充電池2本での組み合わせで使用しています。
 アメリカのCREE社製LED「Q5」を6個使用しています。
 遠方まで照射するには、高輝度LED1個をリフレクターで調光した形状が適しています。
 遠距離の照射には不向きですが、実用的な範囲では非常に明るく感じます。
 LEDを12~18個も使用したフラッシュサイトも見かけられますが、携帯性や電池消費などを考慮すると6個程度のライトがバランスが良いと思われます。
 グリスが付着しているので黒っぽく見えますが、ねじ切りの精度は低いです。
 素材は航空機用アルミニウム製とは言え、他のライトと比較して、やや肉厚が薄いようです。
 強度は必要十分だと思います。
 もう一つ不満を言うなら、テールスイッチか電池の接触が思わしくないようです。
 このライトは、18650型リチウムイオン充電池を使用します。
 写真左側が18650充電池で、写真右側が単3電池です。
 単3電池を使用するライトと比較して、直径はあまり変わりませんが、若干長めになります。
 この電池は、充電や保管などの取り扱いには十分な注意が必要です。
 CR123Aリチウム電池よりもコストに優れ、アルカリ乾電池よりも高電圧が得られ易いものの、取り扱いが難しいため、一般には普及していません。
 18650充電池のラベルです。
 表示上は3,000mAh、3.7Vですが、流通している多くの18650充電池は中国製で、表示された性能よりも劣るようです。
 安全性と寿命を高めたLiFePO4充電池なども製造されていますが、入手は難しいようです。
 他のフラッシュライトと比較してみました。
 写真上は、ホームセンターでも販売されていたサンジェルマン社の「GENTOS 閃 SG-300」、写真下は「WF-2800L」です。
 「SG-300」は、単3電池2本を使用するLEDライトで、カタログ上の性能は、60ルーメン、照射角度は8度から30度です。
 「WF2800L」の光は拡散していることが分かります。
 カタログ上の2,800ルーメンには、到底及ばないようですが、非常に明るく感じます。