レッドブル・エアレース 千葉 2015[予選]見学記録


 2015年5月16日(土曜日)


 国内で初めてのレッドブル・エアレースが千葉県幕張で開催されました。

 レッドブル・エアレースとは、世界トップクラスの飛行技術を持つパイロットが、最高時速370km、最大重力10Gの中、高さ25mのパイロンで構成されたスラロームコースを決められた順序と飛行方法に沿って次々と通過してタイムを競う、三次元で繰り広げられるエアレースです。
 「世界最速のモータースポーツ・シリーズ」とも形容されるこのエアレースには、世界トップレベルのパイロットが参戦しており、母国の空軍を経歴に持つパイロットや、2009年からはアジア人初の選手として室屋義秀がエントリーしています。

 千葉大会は2日間に渡って開催され、プログラムは
   5/16 予選 11:30 チャレンジャークラス予選 / 16:00 マスタークラス予選
   5/17 決勝 12:00 チャレンジャーカップ / 13:00 マスタークラス ラウンドオブ14 / 15:00 ラウンドオブ8 / 15:30 ファイナル4
の予定であり、天候不良のため、一部が変更されました。

 残念ながら、予選の1日しか観戦できなかったので、全体の様子を紹介できません。
 ルールや競技の様子は、写真と共に紹介することにします。

 何とか予定を立て、チケットを購入したのは、予選開催日の5日前でした。
 メイン会場から近いエリアは売り切れていたので、最も遠い検見川浜エリアを購入しました。
 5月16日の福島県の地方新聞の第一面です。
 室屋選手は現在、福島県を拠点として活動しており、新聞やローカル番組などでは度々紹介されてきました。
 早朝に出発して会場に向かいました。
 東京ディズニーリゾートの看板が見えてきましたが、遠路ここまで来たので、寄り道したい気持ちにもなります。
 会場周辺には、午前6時30分頃に到着しました。
 幕張メッセ近くのファミリーエリア入場口の様子です。
 雨の中、早朝から開場を待つ人がいます。
 左側の建物は、会場近くにあるアパホテル&リゾートです。
 地上50階、高さ180mの上層部は霞んで見えません。
 視界が悪ければ中止となり、翌日に延期されることが危惧されました。
 検見川浜エリアの入場待ちの様子です。
 明るくなってきたものの、小雨が降っています。
 入場口の様子です。
 午前10時に開場されました。
 会場に向かいます。
 雲が厚くて薄暗く、視界が悪いです。
 レーストラックの様子です。
 左側から進入して、右奥に向かいターンして戻ってきます。
 最前列は護岸施設の手摺りがあるため、視界は良くありません。
 遠くのパイロンは霞んで見えます。  パイロンの高さは25mです。
 近くから見ると、とても大きく見えます。
 会場にはビデオスクリーンが設置されており、プログラムの進行状況などが解説されます。  午前11時過ぎ頃の会場の様子です。
 予選には、6万人の観客が集まったそうです。
ルールについて説明します。
レッドブルエアレースの詳しいルールを知らなかったので、事前にルールや予備知識を得た上で観戦に臨みました。
コースの画像はイメージとして作成したものなので、実物とは異なるかもしれません。
赤色の三角形はパイロン、黒色の三角形はスタート/フィニッシュゲートを表します。
飛行ルートは、オレンジ色の矢印で示しており、左側からコースに進入し、スタートゲートの通過時にタイムの計測が開始されます。
2個列んだパイロンはエアゲートで、通過時には機体を水平にしなければなりません。
右端のエアゲートを通過直後に、旋回して折り返しますが、旋回時に10Gを超えると失格となります。
折り返し後、スラロームを通過して右方向に向かいます。
左端のエアゲートを通過後に旋回して、フィニッシュゲートを通過した時点で競技が終了します。
詳しいルールは、デモ飛行の写真を使用して補足説明します。
オレンジ色で示した左端の沿岸地区が、検見川浜エリアです。
 悪天候のため、プログラムの一部の変更されました。
 午前11時40分頃からデモ飛行が開始されました。
 2本列んだパイロンはエアゲートであり、通過高度が規定範囲を超えた場合は、ペナルティとして、フライトタイムに2秒が加算されます。
 また、スモークを発出しなかった場合は、ペナルティとして1秒加算されます。
 スタート/フィニッシュゲートは、201ノット(時速372km)未満で通過しなければなりません。
 201ノット以上はペナルティー1秒、202ノット以上は失格となります。
 スタートゲートの通過時に、タイムの計測が開始されます。
 シケインを通過する様子です。
 パイロンに1回の接触で3秒が加算されます。
 同じフライトの中で、3回のパイロンヒットがあった場合は失格となります。
 コース右端のゲートを通過直後に、旋回して折り返します。
 旋回時に10Gを超えると失格となります。
 シケインを通過します。
 再びスタート/フィニッシュゲートを通過します。  コース左端のゲートを通過直後に旋回して、スタート/フィニッシュゲートに向かいます。
 この時にも、10Gを超えると失格となります。
 エアゲートを通過するときには、主翼を水平にして通過しなければなりません。
 上下10°を超えて通過すると、ペナルティーとして2秒加算されます。
 最後にスタート/フィニッシュゲートを通過して競技終了となります。
 1回の競技時間は約50~60秒です。

写真だけでは競技の様子が分かり難いので、動画を掲載してみました。
デジタルカメラを手持ちで撮影しており、ファイルサイズを縮小するために編集しているので、画質には期待しないで下さい。
ブラウザ上で新しいタブで開くなどして再生して下さい。

ファイル種別 
ファイルサイズ 
再生時間 
 
WMVファイル
15.3MB
1分11秒

ファイル種別 
ファイルサイズ 
再生時間 
WMVファイル
13.8MB
1分5秒
予選のタイムによって、翌日の決勝戦「ラウンドオブ14」の組み合わせが決定されます。
「ラウンドオブ14」は1対1の対戦になり、勝者7名と敗者の中で最速タイムの1名が敗者復活して、次の「ラウンドオブ8」に勝ち進みます。
「ラウンドオブ8」も1対1の対戦で、4名の勝者が最終戦の「ファイナル4」に勝ち進みます。
「ファイナル4」のタイムで、1~4位の順位が決定されます。
 会場は混雑し始めました。  チャレンジャークラス予選の様子です。
 会場中央から遠く離れた検見川浜エリアですが、スタートゲートに進入する様子と、ゴール直前の旋回する様子を近くから見ることができます。  最前列まで近付けば、より迫力が感じられます。
 チャレンジャークラスの模様は省略させて頂きます。
 会場中央の様子です。  会場中央付近は、非常に混雑しているように見えます。
 マスタークラスのトレーニングの準備が進められています。 
 エアゲートが増えることによって、競技の難易度が上昇します。
 パイロンは瞬く間に膨らみます。
 ハンガーの様子です。
 奥には室屋選手が使用する機体「EDGE 540 V3」が見えます。
 ハンガーと臨時滑走路は、会場から約10km離れた場所に開設されています。
 海の向こうの対岸側にあるのですが、視界が悪いので見えません。
 ジェットデッキの様子です。
 マスタークラス予選の準備が進められる一方で、会場中央では様々なアトラクションが行われました。
 検見川浜エリアからでは遠いです。
 会場中央では様々なイベントが行われた他、フードコートも充実しているので、可能であればチケットの価格が高くても購入するべきだと思います。
 マスタークラスのトレーニングが開始されました。
 2015シーズンは、14人のパイロットが参加しており、出場選手を簡単に紹介します。
 レースナンバー10 カービー・チャンブリス(アメリカ出身)です。
No.26 フアン・ベラルデ(スペイン)です。
 左側のパイロンに接触しました。  パイロンは機体との接触で破れ易くできています。
 パイロンは9個のセクションから作られており、破れた部分だけをファスナーで交換し、僅か2分で復旧できます。  Airgaterと呼ばれる作業班が海上で待機しているので、早急にレースが再開されます。
 レッドブルの塗装が施されたヘリコプターです。
 会場の様子を撮影しており、ビデオスクリーンで放映されました。
 No.99 マイケル・グーリアン(アメリカ)です。
 室屋選手が機体に向かいます。
 No.12 フランソワ・ルボット(フランス)です。  フランス国内の曲技飛行チャンピオンを経て、2004年以来、ヨーロッパと世界曲技飛行選手権での優勝を重ねてきた実力を持っています。
 今季からマスタークラスへと上り詰めた新人です。
 No.8 マルティン・ソンカ(チェコ)です。  2005年からチェコの曲技飛行のチームに参加し、僅か1年で最も難易度が高いカテゴリーまで上り詰めました。
No.21 マティアス・ドルダラー(ドイツ)です。
No.27 ニコラ・イワノフ(フランス)です。
 No.91 ピーター・ベネゼイ(ハンガリー)です。  レッドブル・エアレースが初めて開催された2003年の年間チャンピオンです。
 室屋選手をエアレースに誘った男とも言われています。
 No.31 室屋義秀です。  2009年、アジアから初めてエアレースにエントリーしました。
 昨年、クロアチアのロビニで開催された第2戦では3位に入賞し、初の表彰台に立ちました。
 スタートゲートを通過しました。  シケインを通過する様子です。
 遠くても姿勢を反転しながら高速で通過する迫力ある様子が伝わってきます。
観戦エリアの目前でターンします。
 1回目の飛行は、53秒581でした。  2回目の挑戦に入ります。
室屋選手が使用する機体は、この大会のために導入した新型機「EDGE 540 V3」です。
エンジンカウリング、インテーク、キャノピーなどが新設計され、極限まで空気抵抗を低減させたと言われています。
 シケインを通過する様子です。  2回目は、51秒887でした。
 上位入賞が期待できるタイムです。
 No.9 ナイジェル・ラム(イギリス)です。  レッドブルエアレース2014のチャンピオンです。
 No.22 ハンネス・アルヒ(オーストリア)  昨年の総合成績第2位の実力者です。
No.84 ピート・マクロード(カナダ)です。
 No.95 マット・ホール(オーストラリア)です。  元オーストラリア空軍パイロットの経歴を持っています。
 No.55 ポール・ボノム(イギリス)です。  2009年、2010年の2年連続で総合チャンピオンに輝いています。
 今シーズンの開幕戦であるアブダビ大会では優勝しています。
 予選の様子は、室屋選手の飛行のみに要約して紹介します。
 予選の成績でラウンドオブ14の組み合わせが決定されます。
 室屋選手の操縦する機体が近付いてきました。
 スモークOn・・・  スタートゲートを通過・・・
 シケインを通過します。  スタート/フィニッシュゲートを通過・・・
 予選は2回のフライトが行われます。
 1回目のタイムは、54秒288でした。
 2回目の挑戦です。
 シケインを通過・・・  最終ゲートを通過・・・
目前を旋回してフィニッシュゲートに向かいます。
 フィニッシュゲートを通過しました。  2回目のタイムは、52秒429でした。
 1回目のタイムを約2秒(1秒859)短縮しました。
 予選終了後の会場の様子です。
 競技の様子は大幅に省略したので、分かり難いと思いますが、詳しくは専門誌などを参考にして頂ければと思います。
 また、NHK-BS放送では、レッドブル・エアレースの各大会を録画放送しています。
 予選結果が発表されました。
 室屋選手は9位でした。
 決勝の様子を紹介できずに、ここで終了するのは心苦しいです。
 予選終了後、千葉市消防局航空隊による救難展示が行われました。  千葉市消防局航空隊のヘリコプター「おおとり1号」と「おおとり2号」です。
 機体は、Airbus Helicopters社製のAS365です。
 この大会では、海上自衛隊の救難飛行艇 US-2が飛行展示を行う予定でしたが、中止になってしまいました。  救難展示の様子です。
 この日の天候は雨のち曇でしたが、翌日の決勝では天候が回復しました。
 帰路の様子です。
 正面は東京ディズニーランドホテルです。
 予選と決勝を観覧して、翌日にはTDLを満喫するというような旅行をしたかったです。
 東京スカイツリーです。
 来年も千葉で開催され、都合が付けられたとすれば、会場中央付近のエリアから決勝戦を観戦したいと思います。

 翌日開催されたレッドブル・エアレース千葉 2015決勝での室屋選手の結果は、ラウンド・オブ14を勝ち進み、ラウンド・オブ8で10Gを超えてしまい失格となってしまいました。
 室屋選手の今シーズンの成績は、下記の通りです。

第1戦 アブダビ(アラブ首長国連邦) 第6位
第2戦 千葉 第8位
第3戦 ロヴィニ(クロアチア) 第10位
第4戦 ブダペスト(ハンガリー) 第9位
第5戦 アスコット(イギリス) 第3位
第6戦 シュピールベルク(オーストリア) 第10位
第7戦 フォートワース(アメリカ) 第3位
第8戦 ラスベガス(アメリカ) 第4位
年間総合成績 第6位

 室屋選手は、2009年にレッドブルエアレースに参戦し、その年の年間総合成績が第14位、翌2010年が第12位でした。
 2014年の第2戦クロアチア大会では、第3位で初の表彰台に立ち、年間総合成績は9位でした。
 2015年の年間総合成績は第6位であり、来年は上位入賞を期待します。