ストラテジック コマンド


タイトル ストラテジック コマンド
(STRATEGIC COMMAND)
メーカー 発売元 マイクロマウス株式会社 (※1)
開発元 Battlefront.com
価格 6,800円
2003年11月発売
ジャンル 戦略級シュミレーションゲーム
プレイヤーは、第二次世界大戦時の欧州における枢軸国軍または連合国軍の最高司令官を担当して、自国陣営を勝利に導く。
難易度 難易度 4 (※2)
ルールブック61ページ
日本語版説明書がpdfファイルで添付されているが、1ページあたりの文字数は少ない。
ゲームバランス キャンペーンゲームで枢軸国軍が勝利することは難しい。
ゲーム期間 キャンペーンは、1938年から勝利条件を満たすまで。
勝利条件を満たせない場合は、1947年で終了する。
シナリオゲームは6本付属する。
ゲーム規模 1ヘックス 約80km
1ユニット 軍、軍団規模。
空軍、海軍などの特殊ユニットあり
1ターン  夏季1週間、春秋季2週間、冬季1ヶ月
マップは、ヨーロッパ全域、東はウラル山脈、北アフリカ、北米の一部を含む。
動作環境 CPU Pentium166Mz、メモリ 32MB以上、Windows98以上
※1 現在この会社は存在しません。
※2 10段階評価で「1」が最も易しく「10」が最も難しい。あくまで個人的な主観です。
メーカーカタログ  http://www.battlefront.com/products/stratcom/download.html

1 はじめに
 PCゲームとしては珍しい戦略級シュミレーションゲームです。
 プレイヤーは、枢軸国、または連合国の最高司令官の立場で、敵国陣営を降伏させ、自国陣営を勝利に導きます。
 ポーランド侵攻前の第三帝国周辺の状況

20年近く前に発売されていたAvalon Hill社の「3rd Rich」を彷彿させます。

操作画面

ユニットや都市クリックすると画面下に情報が表示されます。

マップ全域の縮小図

1942年6月28日、ブラウ作戦開始前の状況

画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
面積を約65パーセントに縮小し、解像度も下げています。
2 ルール全般
 ルールは簡単で、一般的なシュミレーションゲームと同じく、「移動」「戦闘」「補充」のほか、「生産」「技術開発」「宣戦布告」などを繰り返していきます。
 ターン内に行う順番は任意です。

(1) ユニットの種類
 ユニットは全部で12種類あります。
 それぞれ、特性が異なります。

ユニットの種類

 左から、司令部、歩兵(軍団規模)、歩兵(軍規模)、戦車、弾道ミサイル、航空機、爆撃機、戦艦、巡洋艦、航空母艦、潜水艦、輸送船です。

(2) 移動
 ユニットの種別によって、移動力、進入できる地形が異なります。
 戦闘後、補充後、生産直後のユニットは移動できません。
 スタックはできません。
 戦略移動も行えます。
 軍需能力値を消費すれば、自軍支配地域に再配置することができますが、海峡を横断したり、補給下にない場所には配置できません。

(3) 戦闘
 ユニットは基本的に戦力値が「10」です。
 損害を受ければ、「1」単位で減少し、「0」になれば全滅します。
 技術開発が進めば、1段階につき「1」上昇し、上限は「15」になります。

 1ユニットずつ移動と戦闘を行っていくので、戦闘結果を見ながら作戦を立案、変更ができます。
 最前線の敵ユニットを殲滅して移動力・攻撃力の優れた装甲部隊での突破攻撃や後方の都市占領などを行うこともできます。
 地上部隊、航空機、などのユニットを最も戦闘効果が上がるよう順序を考えて攻撃を行う必要があります。

 ユニットには種別ごとに、対戦車攻撃値、対歩兵、攻撃値、対空攻撃値などの様々攻撃値、防衛値が設定されています。
 基本戦力値に攻撃値や防衛値、地形修正、経験値、補給値などの様々な要素が修正値となり、戦闘結果に反映されます。
 これらの修正値や攻撃順序などを考えて、十分に作戦立案をしなければ、有利な戦闘は行えません。

ユニット・地形情報の表示

 部隊や地形をクリックすると画面下にデータが表示されます。
 左欄はユニット、右欄は地形(ヘックス)の情報が表示されます。
 例)上の画像は、ハリコフに駐留するドイツ第29歩兵軍団を表示しています。

(4) 補給
 補給には軍需能力値を消費します。
 軍需能力値は軍事費のようなもので、これが無ければ、部隊生産、部隊補充、技術開発、海上輸送、戦略移動などを行うことができないので、満足な軍事行動が行えないことを意味します。
 軍需ポイントは、都市、油田、鉱山などを占領することによって、増やすことができます。
 つまり、戦略目標の占領、敵同盟国の降伏、通商破壊などを行い、敵陣営の軍需能力値を削ぎ落とすことで、戦略を有利に進められます。
 主要国を占領した直後には、より多くのポイントを得ることができます。
 軍需能力値は、次ターンに繰り越すことができます。

軍需能力値の表示

1943年7月5日、ツィタデレ作戦開始時の軍需ポイント
画面右下に表示されています。

(5) 補充・生産
 戦闘で攻撃力が消耗したユニットは、軍需能力値を消費することによって回復することができます。
 生産は、軍需能力値を消費することによって、自国支配地域に新たにユニットを配置することができます。
 ユニットの種類によって消費するポイントは異なります。

(6) 技術開発
 主要国は技術開発を行うことができます。
 歩兵用対戦車兵器、新型戦車、新型潜水艦、弾道ミサイル、航空技術(3種類)、電子技術(3種類)、工業技術の計11種類です。
 軍需能力値を消費して、技術開発を進めることができます。
 開発は5段階で、1つ上がるごとにユニットの攻撃力の上限が「1」上がりますが、技術が上がるごとに多くの軍需能力値や開発期間を必要とします。
 自国陣営の開発が進むと、敵国側の開発の可能性が高くなるのは、良く表現されていると思います。(その逆の可能性もあります。)
 実際には、消耗した部隊の補充に追われるので、開発を進めることは難しいです。

技術開発の進化

技術開発が進むとユニットのデザインが、ティーガー戦車やMe262などに変わります。
各国デザインが異なる凝りようです。
3 その他
 様々な選択ルールが用意されています。
 難易度を変えることもでき、エディター機能まで付属しています。

(1) 選択ルール
 索敵ルール、自由フランス軍、パルチザン、日本の対ソ宣戦、ソビエト軍の焦土作戦です。
 選択ルールはゲームバランスを大きく変えます。
 ゲーム開始時には、難易度を選択することもできます。

(2) 外交戦
 選択ルールにより、中小国の参戦が史実と異なる可能性が出てきます。
 通常は史実通りですが、アメリカ、ロシアの参戦時期をランダムにしたり、中小国の参戦の可能性を変えることもできます。
 枢軸国が中小国を侵略すれば、アメリカ、ロシアの参戦が早まる可能性が高まり、戦況によっては、中小国が枢軸国側や連合国側で参戦する可能性もあります。

(3) 通信対戦機能
 通信対戦機能が備えられているので、通信対戦を楽しむことができます。

(4) 点数評価
 勝利条件を満たしてゲームを終了すると、点数評価が下されます。
 自軍損失ユニット数、敵軍撃滅ユニット数、終了ターン数、占領都市数などにより、点数が決定されます。
 高難易度のゲームほどボーナスポイントが得られるので、一度ゲームを終了しても、より高い点数を求めて再挑戦できます。
4 連合国軍の戦略
 キャンペーンゲームでは、ポーランド降伏を1ターンでも伸ばし、西部戦線の防衛準備を整えるようにします。
 フランス国境はマジノ戦で防衛できますが、ベルギー、オランダが脆弱なので、司令部、戦車を生産し、前線の戦力を強化します。
 艦船をオランダ沿岸に配置すれば、ドイツ軍は艦船に攻撃を加えることがあり、地上部隊への攻撃を分散させることができます。
 イタリアが参戦しても、国境の山岳地帯に歩兵を配備することで防衛できます。
 消耗した兵力の補充で多くの軍需ポイントを消費してしまいますが、チャンスがあれば攻勢に出てドイツを早期に降伏させることも可能です。
 仮にフランスが降伏しても、アメリカの参戦を待って戦力が整ったところでドイツを攻略すれば、比較的簡単に勝利できます。

5 難しい枢軸国の勝利
 ゲーム開始時はポーランド、フランス、イギリスと交戦状態にあり、カナダも第1ターンに参戦します。
 長期戦は連合国との軍需能力値の収入差により戦力差が生じて不利になるので、如何に電撃作戦を駆使して、早期に1国ずつ占領していくかが、勝利への鍵になります。
 ポーランドを攻撃しつつ、フランス国境に部隊を集結させて、低地諸国に宣戦し、一気にパリ占領に向かいます。
 ここまでは史実通りで簡単ですが、英本土上陸作戦を決行するには、イギリス海軍の弱体化と空軍の無力化が不可欠で、消耗戦に巻き込まれていきます。
 早期にロンドンを占領すれば、イギリス本土の港湾を支配下におけるので、陸上部隊の輸送が容易になります。
 遷都したマンチェスターを占領すればイギリスは降伏しますが、この時点でアメリカ、ソビエトが対独参戦していなければ、枢軸国陣営の勝利となります。
 ルール上では、アメリカ、ソビエト両大国を占領し、欧州国家全てを第三帝国の支配下に置くことも可能ですが、第三帝国が欧州の覇者になることは、非常に難しいということがわかります。

6 歴史の「もしも?」に挑戦する。
 キャンペーンエディタがあり、「歴史のif」も再現できます。
 技術力や同盟国、部隊数、配置場所、ユニットの経験値など細かな数値を変更できます。
 ティーガーU戦車は、あと1年早く配備されていたら戦局は変わっていたかもしれない。などと言われることがありますが、ゲーム上で装甲部隊の技術力と基本値を増加させて、それらしく再現することもできます。
 アメリカの早期参戦や、ユーゴスラビア親独政権維持での参戦、ドイツ海軍の空母運用など「歴史のif」に挑戦することもできます。
 ただし、枢軸国がソビエトと同盟したり、ドイツがイタリアに宣戦するなど、主要国陣営を変更することはできません。
 実際には、重戦車が生産が早期に開発されていようが、空母が運用されようが、その程度のことでは戦況を大きく変えることはできません。

7 最後に
 全体として完成度の高いゲームです。
 戦略級SGは数が少なく、その存在価値は大きいと思います。
 ルールは比較的簡単で、細かい戦闘修正はパソコンが行ってくれるのでサクサク進められます。
 ユニットによる戦闘は、ボードゲームに興味が無なければ、面白さが感じられないかもしれませんが、ルールは簡単なので初心者にも勧められます。
 一方でルール上の矛盾や不合理な点が多く感じられます。
 こうした戦略級ゲームは、合理性を持たせるためには多くの特別ルールを設定しなければならないので、PCゲームでの再現は難しいと思います。
 ボードゲームであればルールを変更できますが、PCゲームでは不可能です。
 残念なことに、日本語版の発売元のマイクロハウスは倒産しています。
 続編の「STRATEGIC COMMAND 2」が開発中なので、発売されれば是非プレイしてみたいのですが、日本語版が発売されることはないと思います。
 STRATEGIC COMMAND 2  http://www.battlefront.com/products/sc2/index.html