海上自衛隊 護衛艦「きりしま」「さざなみ」見学記録


 2012年7月21日(土曜日)


 仙台港に海上自衛隊の護衛艦「きりしま」と「さざなみ」が入港し、7月21日と7月22日の2日間、一般公開されました。
 一度の機会にイージス艦と汎用護衛艦の2隻の艦内を見ることができました。
 護衛艦が停泊した仙台港中野第1埠頭の周辺には、一般用駐車場が無いので、臨時駐車場とシャトルバスを利用することになりましたが、シャトルバスは十分に準備されており、待ち時間や混雑はありませんでした。
 今回は2ページに分割し、1ページには「きりしま」、2ページには「さざなみ」を中心に紹介します。
 「きりしま」と「さざなみ」の概要は、見学時に頂いたパンフレットや海上自衛隊のホームページから抜粋して簡単に説明しておきます。

 護衛艦「きりしま」
 「きりしま」は、イージスシステム搭載護衛艦「こんごう」型の2番艦であり、優れた対空戦闘能力を有するとともに、対水上戦、対潜水艦戦においても最新装備を導入した最新鋭護衛艦として、平成7年3月に就役しました。
 更に、平成21年度の特別改造によって、弾道ミサイル迎撃能力が付加しました。
 「きりしま」に搭載されている「イージス・システム」とは、従来の防空システムでは対処できないような、多数の飛行機やミサイルによる同時攻撃に対処するための高度に自動化されたシステムであり、脅威となる対空目標の捜索、識別、攻撃目標の選定、武器の割当て、ミサイル発射管制及び攻撃評価に至る全てのプロセスをコンピューターによって完全自動化されています。

 護衛艦「さざなみ」
 「さざなみ」は、「たかなみ」型護衛艦の4番艦として、平成17年2月に就役したヘリコプター搭載の汎用護衛艦です。
 高性能の新型コンピューターで制御、管制されたレーダー、ソナー、127mm速射砲、垂直発射型対空・対潜ミサイルなどのシステムを搭載し、さまざまな任務に対応することができます。
 また、艦内は、運行システム、機関の自動化など省人力化が図られているとともに、長期間の洋上での任務遂行を余儀なくされる乗員の居住環境にも配慮されています。


護衛艦「こんごう」型 DDG"KONGOU"Class 174「きりしま」
 基準排水量
 7,250t
 馬 力
 1,000,000PS
 主機械
 ガスタービン4基2軸
 乗 員
 約300名
 速 力
 30kt
 主要寸法
 161m x 21.0m x 12.0m x 6.2m (長さ、幅、深さ、喫水)
 主要兵装
 イージス装置一式、VLS装置一式,
 高性能20ミリ機関砲 x2、SSM装置一式
 54口径127ミリ連射砲、3連装短魚雷発射管 x2
 電波探知妨害装置一式、対潜情報処理装置一式
 同型艦
 173 「こんごう」、175 「みょうこう」、176 「ちょうかい」



護衛艦「たかなみ」型 DD"TAKANAMI"Class 113「さざなみ」
 基準排水量
 4,650t
 馬 力
 600,000PS
 主機械
 ガスタービン4基2軸
 乗 員
 約175名
 速 力
 30kt
 主要寸法
 151m x 17.4m x 10.9m x 5.3m (長さ、幅、深さ、喫水)
 主要兵装
 VLS装置一式、高性能20ミリ機関砲 x2
 SSM装置一式、54口径127ミリ連射砲
 3連装短魚雷発射管 x2、哨戒ヘリコプター x1
 同型艦
 110 「たかなみ」、111 「おおなみ」、112 「まきなみ」
 113 「さざなみ」、114 「すずなみ」
 写真とデータは、海上自衛隊ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)から転載しました。

 埠頭の様子です。
 港湾施設は広く、周辺には駐車場はありません。
 臨時駐車場とシャトルバスを利用するのが最善です。
 護衛艦「きりしま」です。
 側には、クレーンやコンベアなどの港湾設備があるため、船体の全てを写真に収めることができません。
 「きりしま」が埠頭に接岸して、その向こう側に「さざなみ」が停泊しています。
 人の大きさと比較すると、船体の大きさが感じられると思います。
 はじめに、「きりしま」の右舷中央から乗船します。
 「きりしま」の艦内を一巡した後、隣の「さざなみ」に乗船します。
 艦対艦ミサイルが合計6発搭載されています。
 最大8発まで搭載できます。
 「きりしま」には、アメリカ製のハープーン艦対艦ミサイルが搭載されています。
 マストは高く、様々なレーダーや電子戦装置などが付いています。  乗艦した後、艦橋内の通路を通って前部甲板に向かいます。
 艦橋前部です。  写真左側 : 「きりしま」
 写真右側 : 「さざなみ」
 艦橋前方の高性能20mm機関砲(CIWS)です。
 主として対艦ミサイルを撃墜するための兵装で、機関砲とレーダーなどが一体となった、独立システムとして構築されています。
 レーダーの右側に赤外線カメラが取り付けられた型式のもので、光学照準により、水上目標などにも射撃が行えます。
 艦橋左前方の「多機能レーダー SPY-1D」です。
 イージスシステムを構成するレーダーで、艦橋の4面に装備されており、全周の多数目標を探知・捕捉・追跡します。
 艦橋右前方に装備されたチャフ発射装置です。
 前部VLS(垂直発射装置)です。
 29発の対空・対潜ミサイル、弾道弾迎撃ミサイルが収納されています。
 1箇所のみ3セル分のハッチが連結されていますが、ここには再装填用のクレーンが収納されています。
 54口径127mm速射砲です。  イージスシステムはアメリカ製ですが、艦載砲はイタリア製のものが採用されています。
 他の護衛艦に搭載されている76mm速射砲と比べると背が高いです。
 砲塔のハッチが開放されていました。
 砲塔内は無人で操作されますが、ハンドルには「左旋回」「右旋回」と表示されているので、手動旋回用のものと見られます。
 54口径5インチ砲用教練弾1型です。
 127mm速射砲の模擬砲弾です。
 錨鎖と揚錨機です。  消火用ホースは、多くの場所に置かれています。
 艦橋内の所々には、防弾チョッキが置かれていました。  艦橋左側から見た前部甲板です。
 甲板を1階とすると、艦橋は6階部分になります。
 艦橋付近から見たマストです。  「さざなみ」が隣接して停泊しています。
 「きりしま」の艦橋を見て、艦内の通路を通った後、「さざなみ」の右舷中央甲板から乗船します。
 艦橋後部に保管された信号旗です。  前方側の煙突です。
  
 NBC兵器の影響下での作戦行動も考慮されています。
 船体に付着した放射性物質などを洗い流すためのノズルですが、至る所に取り付けられています。
 写真左側 : 信号探照灯
 写真右側 : 時鐘
 艦橋内の様子です。
 多くの人のため、艦橋内の写真は部分的なものに限られてしまいました。
 信号拳銃の保管庫です。
 状況を把握するための表示札です。
 必要な部分裏返して赤色表示させます。
 簡単な方式ですが、分かり易いと思います。
 ノートパソコンが設置されていました。
 画面の海図には海底深度が表示されており、GPSと連動しているように見られます。
 艦橋から見た前方の風景です。  右側は、航海灯・信号灯の操作盤です。
 左側は、その他の表示灯の操作盤です。
 操船関係の部分です。
 左側が速力、右側が操舵に関する操作部分です。
 左上のモニターは、ヘリコプター甲板を映しています。
 モニターの下は、フィンスタビライザの操作部分です。
 戦闘態勢表示盤です。
 レーダーや兵装、主機などの状態が表示されています。
 海図台です。
 仙台港近辺の海図が広げられています。
 RRC-22 救命無線機収納袋です。
 救命無線機で、艦橋内に保管されています。
 艦橋内の一室で「SPY ROOM」と表示されています?
 レーダー関係のオペレーションルームと見られます。
 戦闘指揮所は別の場所にあり、非公開とされています。
     
 士官寝室です。
 生活感が感じられません。
 写真左側 : 狭くて勾配がきつい階段です。
 写真右側 : 通路には、多くの防水扉が設置されています。
  
 乗船フロアと見られます。
 様々な展示品や装飾品が置かれています。 
 同じフロアに掲示された「きりしま」のプレートです。
  
 艦内神社です。
 通路の壁に慎み深い趣で建立されています。
 旧日本海軍の戦艦霧島と同じく、鹿児島県の霧島神宮から分祀されたものと思われます。
 写真左側 : 通路に置かれた防火衣や消火用器材
 写真右側 : 医務室
  
 理髪室もあります。
 理容師が乗船しているのではなく、手先が器用な自衛官が調髪を行うそうです。
 理髪室の使用料は、シャンプーやカミソリなどの消耗品の購入に充てられるということです。
 3連装短魚雷発射管(水上発射管 HOS-302)です。
 主に近距離の対潜用として装備されています。
 発射管の基本設計は50年くらい前のもので、当時の護衛艦にも搭載されていました。
 発射管や搭載される魚雷は改良が続けられています。 
 洋上補給管です。  膨張式救命いかだ(投下式)です。
 左後方から見たSSM発射機です。  内火艇です。
 後部甲板は、ヘリコプター甲板になっています。
 後継型のあたご型護衛艦には、ヘリコプター格納庫があり、船体後部の形状は大きく異なります。
 後部VLSには、61発分のミサイルが収納されます。
 VLSの一部にもラインが塗装されています。  後部構造物です。
 高性能20mm機関砲や射撃管制用レーダーなどが配置されています。