海上自衛隊 平成24年度自衛隊観艦式 艦艇一般公開見学記録


 2012年10月10日(水曜日)


 平成24年度自衛隊観艦式の事前公開の応募に当選しました。
 観艦式の開催に併せて、護衛艦などの一般公開が行われたので、こちらも事前公開と併せて見ることにしました。

 平成24年度の艦艇一般公開は、10月7日、10月9日、10月10日、10月12日、10月13日の5日間、横須賀、横浜、木更津で行われました。
 開催日によって、公開された艦艇は異なりますが、各開催場所では1~2隻の護衛艦や補助艦艇が公開されました。
 さらに、満艦飾や電灯艦飾のイベントも行われたので、こちらも見てきました。
 満艦飾とは、艦艇に国際信号旗を繋ぎあわせ、艦首からマストや艦尾にかけて掲揚して装飾したもので、電灯艦飾とは、船体や上部構造物の輪郭や艦首からマストや艦尾にかけて、イルミネーションを施したものです。

 今回の見てきたものは、
   艦艇一般公開は、
     横浜港大桟橋埠頭の護衛艦「ひゅうが」
     横浜新港の潜水艦救難艦「ちはや」
     横須賀の護衛艦「あたご」
   満艦飾は、
     横須賀新港埠頭の停泊艦
     横須賀船越岸壁の停泊艦
   電灯艦飾は、
     横浜港大桟橋埠頭の「ひゅうが」
     横浜新港の「ちはや」と「やまゆき」
です。

 今回は4ページに分割して、1ページに「ひゅうが」、2ページに「ちはや」と「やまゆき」、3ページに横須賀に停泊していた艦船、4ページに「あたご」を中心に紹介します。

 護衛艦「ひゅうが」について

 護衛艦「ひゅうが」は、平成21年に就役した新鋭艦です。
 海上自衛隊が保有する護衛艦としては、現在、最大級の大きさを誇ります。
 外観は、航空母艦を思わせますが、艦上戦闘機などを運用する機能は備えられておらず、ヘリコプターの運用に限定されており、対潜哨戒用ヘリコプターを運用して、護衛艦隊から広範囲の潜水艦の捜索と排除を主たる目的としています。
 全通型飛行甲板の採用によって、同時に3機までの発着が行え、これまでの護衛艦には無かった高いヘリコプターの運用能力を備えています。
 護衛艦隊での運用を想定しているため、対艦用の兵装は装備されていませんが、情報ネットワークシステムが強化されており、旗艦司令部の能力を備えています。
 東日本大震災では、広大な格納庫に救援物資を積み込み、ヘリコプターで陸路が遮断された地域への救援物資の搬送や、負傷者の救助に活躍し、災害派遣時の運用能力の高さも実証されています。

 自衛隊観艦式は、海上自衛隊のホームページで紹介されています。
    http://www.mod.go.jp/msdf/index.html
 「ひゅうが」の詳しい概要については、他のホームページや書籍などを参考とすることを勧めます。



護衛艦「ひゅうが」型 DDH"HYUGA"Class 181「ひゅうが」
 基準排水量
 13,950t
 馬 力
 100,000PS
 主機械
 ガスタービン4基2軸
 乗 員
 約340名
 速力
 30kt
 主要寸法
 197m x 33m x 22m(長さ、幅、深さ)
 主要兵装
 高性能20ミリ機関砲 2基、VLS装置一式、魚雷発射管2基、哨戒ヘリコプター
 同型艦
 182 「いせ」
 写真とデータは、海上自衛隊ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)から転載しました。

横浜港大桟橋埠頭に停泊する護衛艦「ひゅうが」です。
 写真では分かり難いのですが、船体が大きいので、遠くからでも見つけることができました。  開始時間よりも早く到着したので、国際客船ターミナルから「ひゅうが」の外観を見ることにしました。
 艦尾左側には、高性能20ミリ機関砲(CIWS)が装備されています。
 ヘリコプターの着艦の障害とならないように甲板よりも低い位置にあります。
 膨張式救命いかだの外側には、鋼製のカバーが取り付けられています。
 一般的な護衛艦とは異なり、内火艇は船内に収容されています。  甲板には哨戒ヘリコプター「SH-60J」が着艦しています。
 艦橋後部には、右方向と後方向に向けて「FCS-3 多目的レーダー」が装備されています。
 艦橋はステルス性を考慮して、傾斜した壁面が組み合わされています。
 上部構造物は、艦橋や煙突などと一体になっています。
 艦橋には、張り出した部分は少ないです。
 艦橋内は公開されませんでした。
 今回公開された部分は、格納庫と甲板のみでした。
 マストには、ドーム型アンテナや電波探知妨害装置などの多数の電子機器が装備されています。
 船体右前方の乗船口です。
 こちらは立入禁止となっており、船体中央の乗船口から乗船しました。
 近くからは全体を写真に収められません。
 甲板右前にも、CIWSが装備されています。  一般公開が開始されたので、乗船デッキに向かいました。
 間近まで迫ると、船体が非常に大きく感じられます。
 平日の早い時間だったので、混雑はありませんでした。
 タラップを登り切ると格納庫に通じています。
 格納庫には、上映会場が設営されていました。
 船体前方と後方には、合計2基の航空機用昇降機(エレベーター)が装備されています。
 甲板上への移動には、前部エレベータが使用されました。
 エレベーターが下降する様子です。
 エレベーターの大きさは、長さ約20m、幅約10mもあります。
 前の写真に続いて、エレベーターが下降する様子です。  エレベーターを稼働させる巻上機です。
 工場にあるクレーンのような大きさです。
 エレベーターの四隅には、吊り上げるワイヤーが取り付けられていますが、過大な重量を支えるため、太径のワイヤー4本が使用されています。  エレベーターからから見た艦尾方向の様子です。
 エレベーターの動作は、甲板よりも数cm程上昇してから下がり、甲板と同じ高さになります。  甲板上には、ホイールクレーンが止めてありました。
 つり上げ荷重が25tのモデルで、民生用と変わりません。
 甲板上に装備された洋上補給管です。  艦載救難作用車「P-25J」です。
 消火装置を搭載しています。
 艦首側のCIWSです。  汎用護衛艦は高い位置に装備しているので、間近から見ることはできません。
 給弾装置もはっきりと見ることができます。  艦首から甲板を見た様子です。
 甲板の全長は約200mもあり、とても広く感じられます。
 艦橋を左前方から見た様子です。
 艦橋前部には、左方向と前方向に向けて「FCS-3 多目的レーダー」が装備されています。
 甲板上のエレベーター操作員のようです。
 他所の操作員と連絡を取り合って操作していました。
 艦尾左側から甲板上を見た様子です。
 東日本大震災では、救援物資輸送のプラットホームとしての役割を果たし、陸上自衛隊やアメリカ海兵隊のヘリコプターが物資を積み込んで被災地に送り届けました。
 艦橋を左後方から見た様子です。  艦橋後部には、TAS消火装置が装備されています。
 航空燃料の火災などに備えたもので、海水に消化剤を混合させて放出します。
 ひゅうがの主要装備となる「SH-60J」回転翼機です。
 潜水艦を捜索するための哨戒用器材や対潜用魚雷を装備します。
 機体に表示された「ひゅうが」のロゴマークです。
 不死鳥(フェニックス)を中心に、左右から包み込む炎は「ひゅうが」と「ヘリコプター」の頭文字「H」がアレンジされています。
 艦名の由来となった日向(現在の宮崎県)の県の木「フェニックス」にも関わりを持たせています。
 機体後方を折り畳んでコンパクトに収容できます。
 船体の周囲数ヶ所に12.7mm機関銃の銃架が設置されています。  艦尾に装備された垂直発射装置(Mk41 VLS)です。
 対空・対潜水艦ミサイルを16発を収納します。
 左舷後部の銃座は、甲板よりも低い場所に設置されています。  左舷には、甲板よりも1段低い場所に通路が設置されています。
 甲板はコンクリートの様な材質で、滑り止めの加工が施されています。  エレベーターが上昇する様子です。
 エレベーターは、約60秒かけて移動を完了します。
 前の写真に続いて、エレベーターが上昇する様子です。  エレベーターが下降する様子です。
 前の写真に続いて、エレベーターが下降する様子です。  「ひゅうが」は通常3~4機のヘリコプターを運用します。
 格納庫は数機を収容できる巨大なスペースが用意されていますが、東日本大震災では大量の救援物資を積み込んで、被災地に送り届けています。
 手前は艦尾側のエレベーターです。
 奥は、航空整備庫になっています。
 対岸の瑞穂埠頭には、おおすみ型輸送艦「くにさき」が停泊していました。
甲板上には、多数の車両が搭載されているのが見えます。