アメリカ海軍 ヨコスカフレンドシップデー2015見学記録


 2015年8月1日(土曜日)


 在日アメリカ海軍横須賀基地で開催された「ヨコスカフレンドシップデー」と海上自衛隊横須賀地方総監部で開催された「ヨコスカサマーフェスタ2015」を見てきました。
 このイベントと春に開催される日米親善よこすかスプリングフェスタは、東日本でアメリカ海軍の艦艇を見ることができる希少な機会です。
 非常に混雑するイベントのようなので、今まで敬遠していましたが、今回はバスツアーの予約が取れたので行くことができました。

 横須賀市では「よこすか開国祭」が開催されており、基地の周辺では、花火大会などの数々のイベントが催されました。
 ニュースサイトによると、フレンドシップデーの入場者は約56,000人にもなったようです。
 この日は全国各地で今夏の最高気温を更新した猛暑日で、炎天下での厳しいイベント見学になりました。

 今回は2ページに分割して、第1ページには会場の様子と海上自衛隊の艦艇一般公開、第2ページにはミサイル駆逐艦マスティンの一般公開の様子を紹介します。

 新聞の折り込み広告の一部ですが、他のミリタリーイベントも募集しています。
 費用は、旅行傷害保険も含めて10,790円でした。
 行動時間などに制約が生じますが、自動車を運転して行くよりも格安で、長時間運転の労力から解放されます。
 高速道路を下りると、バスの車窓から海上自衛隊横須賀地方総監部が見えました。
 対戦車ヘリコプター「AH-1S」が展示されています。  ヨコスカサマーフェスタでは、護衛艦きりしまが一般公開されました。
 アメリカ海軍横須賀基地には、海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦2隻が停泊していました。  到着後、バスを下りて会場に向かいます。
 入場口は、三笠公園の北側にあるゲートになります。
 到着した時間は午前11時30分頃ですが、入場口近くでの混雑はありませんでした。
 バスの集合時間は午後5時なので、自由行動の時間は5時間30分です。
 フレンドシップデーだけを見るのなら十分ですが、サマーフェスタにも時間を配分すると、個々のイベントをゆっくり見て歩く余裕はありません。
 会場側から見た手荷物検査所の様子です。
 過去のイベントの様子を紹介するブログには、入場待ちが約1~2時間になると説明されていましたが、待ち時間は無く通過できました。
 入場時や会場内では、身分証明書の提示を求められることがあるようなので、事前に注意事項などを調べておく必要があります。
 横須賀基地の南東側の一部が公開エリアです。  このゲートから先が横須賀基地の敷地になります。
 初めに案内板を見て、情報収集をすることにしました。
 事前の調査不足かもしれませんが、Web上ではイベントプログラムを見つけることができませんでした。
 目的はアメリカ海軍の艦艇公開なので、会場を一巡した後に向かうことにしました。
 今回はイージス艦が公開されるようです。
 メインロードの様子です。
 人通りが少なく見えますが、あまりの猛暑のため、入場者は木陰や建物内で休んでいます。
 多くの出店があり、アメリカならではの飲食物や商品の買い物ができることもこのイベントの魅力ですが、ここではミリタリー関係の記事を主体としているので、割愛させて頂きます。
 他のブログなどでは、会場の様子を詳しく紹介しているところもあります。
 フードコートもあります。
 陽射しを避けて涼しい店内で食事ができるので、混雑していました。
 ステージイベントの様子です。
 映画館です。
 館内では、第7艦隊バンドコンサートが行われたようです。 
 どんな映画が上映されているのか興味があったので撮影してみました。
 パックマンの上映は日本より早く、ひつじのアニメはこれからです。
 中央のポスターは、「BEST FRIEND.HERO.MARINE.MAX」という映画で、アフガニスタンの戦場からアメリカに帰国した軍用犬の物語のようです。
 消防車が展示されていました。
 艦艇の一般公開を除くと、唯一の装備品展示でした。
 自動車ショーの様子です。
 多くの新旧のカスタムカーが展示されていました。
 会場の西端からは、猿島が近くに見えました。  お土産にチャレンジコインを購入しました。
 在日アメリカ海軍横須賀基地情報操作部隊?のようです。
 陽射しが強烈なので、テーブル席は空いていました。
 ここで昼食の後、艦艇公開に行くことにしました。
 様々な飲食店が軒を並べていましたが、折角なので、アメリカ的な肉料理を楽しむことにしました。
 円とドルの両方の価格が表示されていたので、どちらの通貨でも購入できるようです。
 艦艇公開場所は少し離れています。
 この日の横須賀市の最高気温は35℃を観測しており、厳しい暑さの中を歩いて向かうことになりました。
 アメリカ海軍のイージス艦が見えました。
 この時には、入場から1時間20分が経過してしまいました。
ミサイル駆逐艦マスティンです。
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の39番艦です。
 マスティンの後方には、海上自衛隊の艦艇が停泊していました。
 左側 : 多用途支援艦えんしゅう
 右側 : 掃海艇はつしま
 正面から見たマスティンです。
 艦艇の右側まで来ました。
 まだ入場口は見えません。
 炎天下の中、乗船待ちの長い列ができていました。
 入場口の様子です。  列の後方に向かったところ、海上自衛隊の艦艇も公開されていることがわかりました。
 米軍艦艇を見る前に、こちらを先に見ることにしました。
 各艦については、先に簡単に概要を説明したうえで紹介することにします。

 多用途支援艦えんしゅうは、ひうち型多用途支援艦の5番艦として建造され、平成20年に就役しました。
 その名称の通り、曳航、訓練支援、救難、輸送などの多目的な用途に使用される支援艦です。 
ひうち型 (AMS"HIUCHI"Class)
基準排水量
980t
馬 力
5,000PS
主機械
ディーゼル2基2軸
乗 員
約40名
速 力
15kt
主要寸法
長さ65m 幅12m 深さ5.8m 喫水3.5m
特殊装置
曳航装置
同型艦
4301「ひうち」、4302「すおう」、4303「あまくさ」、
4304「げんかい」、4305、「えんしゅう」
ひうち型多用途支援艦1番艦ひうちです。
写真とデータは海上自衛隊の公式ホームページ(http://www.mod.go.jp/msdf/)から転載しました。
 海上自衛隊の艦艇は混雑がありませんでした。
 手前が「多用途支援艦えんしゅう」で、後方に見えるのが「掃海艇はつしま」です。
 えんしゅうの艦橋です。
 この艦艇は固定武装を装備していません。
 乗船場所の様子です。
 一度の機会に多用途支援艦と掃海艇の2隻を見ることができました。
 ここで掲載する写真は、装備品などの状態が分かり易いように揃え直しているので、実際に撮影した順番をは異なります。
 右舷甲板に搭載された「6.3m複合作業艇」です。
 FRPとゴムの2種類の浮力体が使用されているので、複合作業艇と命名されています。
 定員は最大10名、船外機式で最大出力は120馬力、最大速力は21ノットです。
 標的の揚収など、主に海面での作業に使用されます。
 船首に装備された揚錨機です。
 えんしゅうは錨を2丁搭載しており、1丁が1.1t、錨鎖は5.9t以上あります。
 錨鎖は全て伸ばすと350m程あり、巻き上げには約30分かかります。
 えんしゅうの錨です。
 一部が隠れていますが、艦上の乗員と比較しても大きいです。
 はつしまが随分と近くに感じられます。
 甲板の高さは掃海艇と同じくらいです。
 今年10月に行われる観艦式のポスターが掲示されていました。
 後部甲板の様子です。
 搭載スペースになっているので、平面で広いです。
 30フィートコンテナや4トンまでのトラックを積載できるので、災害派遣活動にも対応できます。
 後部甲板の前方に装備されたデッキクレーンです。
 左前方から見た様子です。
 電動油圧式のクレーンで最大荷重は約5t、標的の海面への投入、揚収、物件の積み下ろしなどの各種作業に使用されます。
 右後方から見た様子です。
 アームは折り畳まれています。
 デッキクレーンの後方には、艦船曳航装置・導索ドラムが装備されています。
 ウインチの最大荷重は28t、ワイヤーは700mあります。
 出力の大きな機関を搭載しているので、海上自衛隊の最大の艦艇である「ましゅう型補給艦」を曳航することができます。
 自走式水上標的「バラクーダ」です。
 遠隔操作による無人航行が可能で、護衛艦の対水上射撃訓練に使用されます。
 着弾観測カメラを装備して、着弾点の距離などを割り出す光学解析が可能です。
 自走式水上標的は、全長7.23m、全幅2.75m、重量1,950kg、最高出力200馬力、最大速力36ノット(時速約65km/h)以上です。
 高速性を利用して、不審船対処訓練にも使用されます。
 続いて、掃海艇はつしまを紹介します。

 掃海艇はつしまは、えのしま型掃海艇の3番艦で、本年3月に就役したばかりの新造艦です。
 従来の掃海艇の船体は木造でしたが、えのしま型掃海艇は海上自衛隊の掃海艇としては初めて、強化プラスチックが採用されました。
えのしま型 (MSC"ENOSHIMA"Class)
基準排水量
570t
馬 力
2,200PS
主機械
ディーゼル2基2軸
乗 員
約45名
速 力
14kt
主要寸法
長さ60m 幅10.1m 深さ4.5m 喫水2.4m
主要兵装
20ミリ機関砲1基、掃海装置一式
同型艦
604「えのしま」、605「ちちじま」、606「はつしま」
えのしま型掃海艇1番艦えのしまです。
写真とデータは海上自衛隊の公式ホームページから転載しました。
 「えんしゅう」から「はつしま」に乗り移るところです。  爆発物処理班が使用する装備が展示されていました。
 潜水具です。
 余談ですが、甲板の表面は滑らかで光沢があります。
 従来の掃海艇の船体は木製でしたが、強化プラスチックを採用したことによって腐食に強く、艦齢は2倍の約30年に伸びるようです。
 艦橋の様子です。
 はつしまは、海上自衛隊の掃海艇では初めて、遠隔操作型の20mm機関砲を装備しました。  発射速度600±50発/分、最大射程4,500m、最大仰角40°です。
 機雷を処分するための射撃や、対空・水上射撃に使用されます。
 銃身には、模擬弾が取り付けられていました。  艦橋上部に装備された20mm機関砲の射撃管制カメラです。
 加減圧タンクのようです。
 混雑しているので、全体を撮影できませんでした。
 潜水員の減圧症を防ぐために、中に入って気圧を高め、少しづつ地上と同じ大気圧に体を慣らしていく機材のようです。
 内部の様子ですが、非常に狭いです。  水中処分員(EOD)は、水深約50メートルまでの水中にある機雷や不発弾等の捜索及び処分を行います。
 危険な任務に従事するので、海上自衛隊の職種の中でも訓練は厳しいと言われています。
 後部甲板の様子です。  掃海具が所狭しと積載されています。
 えのしま型掃海艇は3隻で終了し、新型の掃海機材を装備した690トン型掃海艇の建造が進められています。  上部にあるのは、水中処分員が使用するボートです。
 下部の黄色いケーブルは掃海電線です。
 海上を曳航し、艦船が航行する際に発生する同様の磁場を発生して、機雷の磁気信管を反応させて処分します。
 磁気掃海と音響掃海の説明です。
 艦船が航行した時に発生する磁気や音響を擬似的に発生して、機雷を誤爆させて処分します。
 この方法とは別に、海底に敷設された係維式機雷を処分する係維掃海などもあります。
 機雷掃討具(S-10・1型)です。
 無人の潜水機材で、係維掃海や複合掃海では処分できないホーミング機雷などを処分するための装備です。
 機雷が艦船を関知しない距離を保ちながら、機雷の位置を割り出して処分します。
 えい航浮標(フロート)です。
 新造艦なので、各種装備品も新しく見えます。
 フロートの下の白色の機材は、音響掃海具(発音体)です。
 海中を曳航し、艦船が航行する際に発生する雑音などと同様の疑似音を発生して、機雷の音響信管を反応させて処分します。
 後部甲板からはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦が見えました。
 次のページでは、ミサイル駆逐艦マスティンを紹介します。