沈船防波堤「汐風」「澤風」

 第2ページでは、駆逐艦「汐風」が沈められた小名浜港1号ふ頭(埠頭)と三崎公園に保存された駆逐艦「澤風」のタービンについて紹介します。

 2012年7月15日(日曜日)

 駆逐艦汐風が沈められた小名浜港1号ふ頭を見てきました。
 小名浜港は、東日本大震災での津波被害によって、付近の様子は変わってしまいましたが、今後の港湾整備や風化などによって、これ以上、面影が消えてしまう前に、現状だけでも写真に残したいと思いました。
 掲載した写真は、東日本大震災後から1年4ヶ月後の平成24年7月15日に撮影したものです。
 この時に撮影した写真を元に説明します。
 第1ページに掲載した空中写真を引用して説明します。 「汐風」が沈められた場所は、現在の小名浜1号埠頭の「いわき市観光物産センター いわき・ら・ら・ミュウ」の南側です。 「澤風」は、その東側にある市営小名浜魚市場前の防波堤一部として沈められました。
 矢印で示した場所に案内板が設置されています。 いわき・ら・ら・ミュウから歩いて行けば分かり易いと思います。
 船尾後方から船首に向けて撮影した様子です。 東日本大震災の発生以前は、船尾部分のタイルが周囲と違う色で表示されていたので分かり易かったのですが、震災の復旧工事で周囲と同一色のタイルが使用されたため、判別できません。
 船尾から船首方向に向けて撮影しました。 写真中央は汐風の案内板です。
 案内板は、津波よる海没のための傷みが見られます。 このホームページの説明は、案内板から引用しました。
 案内板に表示された図面です。 案内板が設置された場所は、後部甲板上で、船体は埠頭の先端に向かって左斜め方向に表示されています。 この場所を基準にして、汐風が沈められた場所を推測できます。
 埠頭西側の様子です。
 中央が沈んでいるように見えますが、東日本大震災による被害と思われます。
 「汐風」が沈められた左舷中央から船首部分の様子です。 東日本大震災の大津波による被害の跡が残されたままです。 コンクリートの基礎が、写真左上から右下にかけて斜めに打たれているのは、「汐風」の船体の位置を示しているのかもしれません。
 埠頭東側の様子です。 瓦礫の撤去と砂利敷きの簡易舗装の復旧作業が行われた程度です。 中央付近が陥没して、水が溜まっているように見えます。
 埠頭東側の様子です。 コンクリート製の基礎や床面から、この場所には建物が存在したことがわかります。 傾いた電柱が震災の被害の大きさを伝えています。
 埠頭東側の様子です。 空中写真では、建物があったはずですが、更地になっています。 駐車場は亀裂が入り、段差が生じています。
 矢印1で示した建造物は、「いわきマリンタワー」です。 この近くに「澤風」のタービンが保存されています。 矢印2で示した防波堤の後方に、「澤風」が沈められたと見られます。

 2014年2月9日(日曜日)

 いわき市の三崎公園には、駆逐艦「澤風(沢風)」のタービンが保存されています。 汐風が沈められた場所を見た時に、合わせてタービンも見たかったのですが、この時には時間が無く諦めていました。 その約1年6ヶ月後になりましたが、機会が訪れたので撮影してきした。 この日の前日には、記録的な大雪が降ったので、雪景色の中での写真になってしまいましたが、いわき市は温暖な地域のため、翌日まで積雪が残ることは殆どありません。
 矢印1は汐風の案内板、矢印2は澤風のタービンの保存場所です。 距離は約1,200mなので、興味があれば合わせて見て頂きたいと思います。
 矢印1は澤風のタービンです。 矢印2はいわきマリンタワーです。 いわきマリンタワーから西方に約70mの場所にあります。 三崎公園は広いので、マリンタワーを基準に探せば分かり易いと思います。
 写真左下には、澤風のタービンが小さく写っています。
 公園の端の方に澤風のタービンが保存されています。 季節によっては、樹木に隠れて探し難いかもしれません。
 澤風のタービンを中心に、記念植樹や記念碑、案内板などが設置されています。 写真に向かって右側の記念植樹から説明します。
  
 高松宮殿下御手植松です。
 澤風のタービンです。 澤風は海軍技術本部式パーソンズ型タービン38,500馬力2基を備え、38~40ノットの高速を出し得ました。
 澤風は大正7年に起工しているので、103年近くも昔(令和3年現在)に製造されたことになります。
 一度は海底に沈められましたが、太いシャフトと繊細なブレードは、長年の降雨や潮風にも耐えて、当時の姿を留めています。
 昭和23年に小名浜港に沈船防波堤として沈められたが、17年後の昭和40年に漁港区改良のため撤去され、紆余曲折の末、ここ三崎公園にタービンの一部が保存されることになりました。
 右側は「駆逐艦澤風植樹記念碑」、中央は「艦魂碑に関する説明板」、左側の句碑には「澤風の 孤高を慕う 波がしら」と刻まれています。
 説明板です。
 文面が判読できるように写真を拡大しました。
 余談ですが、いわき市は冬でも温暖で天候で、雪が積もることは滅多にありません。 珍しい光景です。
 この場所からは、小名浜港が臨めます。 以上で沈船防波堤「汐風」「澤風」のリポートを終了しますが、今後も新たな情報が得られれば更新を続けることにします。

 2023年10月11日(水曜日)

 「いわき・ら・ら・ミュウ」に行った序でに、再び駆逐艦汐風が沈められた場所を見てきました。
 この場所に来るのは11年振りです。 沈船防波堤汐風の案内板が修復されていました。 当時、この付近は、東日本大震災による津波被害が復旧されないまま残っていましたが、当時の面影は感じられません。
 看板の内容は若干変更されています。 現在地の図面が変更されており、英語の解説が加えられています。
 「いわき・ら・ら・ミュウ」の1階南側の休憩室に展示された「汐風」の模型です。 休憩室の南側(太平洋側)の窓沿いに展示されていますが、他の展示物の後方にあるので、見付け難いかもしれません。 模型で見ると、兵装の状態が分かり易いです。 新造時頃の状態で制作されており、12cm単装砲4門、6.5mm単装機銃2挺、連装魚雷発射管3基が装備されています。
 模型の説明板です。 安価なスマートフォンで撮影したので、文字が読み難くなってしまいました。 この模型は、平成24年12月に海上自衛隊護衛艦「みねゆき」の乗員、有志一同が作成したと説明されています。 その護衛艦「みねゆき」は平成25年3月に退役しています。

 最後に、このホームページをご訪問頂いた皆様に、情報の提供をお願いします。
 不確定な情報ですが、「汐風」「澤風」の2隻の他にも、小名浜港には橘型駆逐艦「桂」、吹雪型駆逐艦「潮」が防波堤として沈められたとの情報が見られます。
 しかし、「桂」と「潮」が沈められたことは確認できないとか、解体されたとする情報も見られるので、真偽は判断できません。

 次の2枚の画像は、ご訪問者から頂いた情報です。
 ご訪問者によると、赤色で表示した海底に艦艇が見えたとのことですが、具体的な目撃状況から、この場所に艦艇が沈んでいることは間違いないと思います。
 艦名(船名)・艦種などを推定すらできませんが、特徴や様々な情報が得られれば、或いは特定できるのかもしれません。
 駆逐艦「桂」は、日本海軍最後の進水艦で未完成艦のため、情報収集が困難と思います。
 提供頂いた情報や考察などは、随時、このホームページで紹介致します。
 三崎公園西側の松下海岸の防波堤です。 松下海岸は遊泳禁止で、防波堤は立入禁止なので、船影を確認することができません。 私個人も機会があれば調査を続けますが、些細なことでも構わないので、メールにて情報を頂ければとお願いします。